僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

ポーカーフェイス

 

カードをめくり、手札の5枚を確認する。

ニヤつきたい衝動を我慢する。

 

耕平「(いきなり3カードかよ!こりゃ勝ったな!)」

 

遡ること10分前。

 

いつものようにりょうが、友一、池田と泰一の家でくつろいでいた.。腹が空いた頃、りょうががガストへ宅配の電話をする。

適当に注文をし、電話を切った瞬間。

 

りょうが「あ、俺財布持ってきてないんだった」

 

耕平「おっけー。付けな?」

 

りょうが「それは意味がわからない」

 

友一「そうだ!お金のない人からお金を摂取するなんてとんだ問題社会だ!」

 

りょうが「ここはポーカー1発勝負だろ!!」

 

という、理不尽な展開になりつつも、それに頷く俺や池田。

そして鼻くそを食べていた泰一が巻き込まれ勝負が始まったのだ。

 

池田「いくらポーカーと言えども、お前らに負けるわけがない」

 

耕平「それには同意見だ」

 

池田と目を合わせ、早くも余裕の表情を見せる。ポーカーと言えど、運だけでの勝負ではない。きっと勝つために必要な”何か”がある。その”何か”を知っているわけではないが、少なくとも友一やりょうがよりは考えてやることができる。 

 

そしてとにかく、ビリが負担するというルールで始まった。

 

友一「じゃあ俺がハートの3持ってるから俺から始めるね!!」

 

それは大富豪だろう。ローカルルールによって多少変わるが、俺らの地域で大富豪はハートの3を持っている人からスタートする。

 

まぁいい。3が1枚友一の手札にあることは確認できた。3を1枚友一が持っている。たったそれだけの情報であるが、役立つ可能性も少なからずある。

 

池田「お、おう。いいぞ」

 

池田の同意の元、体を泰一の方に向ける。

泰一もそれに合わせ体を友一に向ける。

 

そして俺にお披露目される泰一の手札の中身。

 

バカなのかな・・・。もう、ポーカーやるのに手札を他のプレイヤーに見せるって、何ていうか、トイレの個室をみんなに見せるくらいの大事(おおごと)だと思うのだが。

 

しっかりと中身を確認。ノーペアだ。

 

この時点で俺の勝ちはほぼ決まった。

 

バレないようにりょうがと池田に視線を移す。

 

真剣な顔つきで手札を見るりょうが。表情で語っている。まずい、ノーペアだ。と。

カードを床に置き目を瞑る池田。まさに神頼みと言ったところだろうか。神様は友一やりょうがよりも池田に味方するだろう。そう、本人は思っているのだろうか。

 そんな2人を見て、俺は思った。

 

こいつらポーカー下手くそだ。

 

 

 

視線を泰一に戻し、表情を伺う。

読み取れない表情。まさにポーカーフェイス。笑っているようにも見えるが迷っているようにも見える。これこそがポーカーで必要な表情だ。

顔を見ただけで考えが全く読めない。素晴らしい。賞賛せざるを得ない。もしかしたらこの中で1番の強敵は泰一なのかもしれない。そう思ったところで思い出す。

 

そういやこいつ、ノーペアじゃん。

 

なぜ手札を対戦相手に見られていることに気づかない。そしてあの何を考えているのかわからない表情。なんだろう、この感じ。バカだ。1番、バカだ。頭隠して尻隠さずとでも言うのか。いいや、もはや本命をさらけ出してる以上、表情なんてどうでもいい。

 

さぁ友一。お前はどう出る。

こいつは何をするかわからない、いろいろな意味で厄介なやつだ。

 

真剣な表情で泰一の手札から1枚手に取り、自分の手札へ加える。

 

力なく抜き取られたハートの3が友一の手札に入る。

 

そして、ダイヤの3とハートの3が、場に捨てられる。

 

耕平「おいそれババ抜きじゃねーか!!」

 

てかそもそもハートの3持ってたの泰一じゃねーかよ!しかもそれをなんで言わねーんだよ!!

 

泰一が体を俺に向ける。

 

そして手が伸びてくる。

 

耕平「ちょっと待って。お前らそれババ抜きだぞ」

 

何言ってんだこいつ、と言いたそうな表情で友一が俺を見る。

 

友一「何言ってんの?」

 

そのまんまかよ。表情のまんまかよ。お前ポーカー下手くそかよ。

 

耕平「なぁポーカーのやり方わかるか?」

 

友一「わかるよ!」

 

耕平「じゃあババ抜きのやり方は分かるか?」

 

友一「わかるよ!」

 

耕平「嘘つけ!じゃあこの山札何!?25枚でババ抜きやるの!?」

 

そんな友一にりょうがが発言をする。 

りょうが「おい友一。お前は1つ大きな勘違いをしている」

 

友一「え、なに?」

 

りょうが「今俺達はカードを5枚ずつ持っている。5人いるから25枚だ」

 

友一「うん、それで?」

 

りょうが「仮にこれがババ抜きだとして、仮に全部ペアがあるとしよう」

 

友一「うん」

 

りょうが「あるのは25枚だ。1枚余る・・・。つまりペアが作れないのさ!!」

 

恐らくりょうがはこう言いたいのであろう。ババ抜きはカードが偶数ないとできない。なぜなら、奇数だと1枚余ってしまうからだ。

 名推理、とでも言いたいのか人差し指を友一に向けドヤ顔をする。

そんなりょうがに池田が言う。

 

池田「いやそれがババ抜きじゃん」

そりゃそうだ。1枚も余らないんじゃ靴下の仕分けだ。勝ち負けがなくなってしまう。

 

 何言ってんだこいつと言いたそうな顔でりょうがが一言

 

りょうが「は?何言ってんの?」

 だからそのまんまかよ。改めて、ポーカー下手くそだな!

 

耕平「とにかく!そのカードを手札に戻せ!!」

 

こんなところでこの手牌を変えられる訳にはいかない。

3ペアだ。いきなり3ペアなんて滅多にないことだ。

 

やり直しなんてごめんだ。

 

池田「やり直しだな」

 

だめだって!!

 

りょうが「そうだな」

 

そうだなじゃねーよ。アホか!

 

耕平「やり直し?甘ったれるな。世の中そんなに都合良くいくと思うなよ?」

 

頭の中でこのまま続ける方法を考える。

 

りょうが「じゃあ多数決で良いんじゃね?」

 

 

やばい。

 

 

考えろ。考え続けろ!ここで負けたら地下労働だ!ペリカなんて紙幣俺はいらない。思考を止めず、続ける方法を考える。勝ちがほぼ確定しているこの状況で引き下がるほどバカではない。

 

りょうがが俺の肩に手を置く。

 

悲しそうな表情で一言呟いた。

 

 

 

りょうが「お前ポーカー下手くそだな」