僕らの現実非日常?

こーへえと仲間たちの日常

貸しを作るが借りは作らない男たちと、借りしか作らない男

 

4時間目終了のチャイムが鳴り、緊張の糸が一気にほぐれる。

 

高校3年生の冬の話だ。

 

緊張などと大げさな言い方をすると真面目と思ってくださるだろうか。その通り、俺は真面目である。

 

ここでりょうがなら、風呂へ入る時のあの感じ!と言うだろう。

友一なら何だろうか。恐らく、4時間目のチャイムが目覚ましと言うだろう。

 

まぁそれはさておき、お昼ご飯の時間だ。

母親が早起きして作ってくれた弁当を広げるのが日課であるが、前日のお酒が抜けなくて今日は自分で買ってこいと言われた今日である。同じくコンビニの袋を持ってりょうがが俺の机へ来る。

 

中身はと言うと、お互いパンしかない。りょうがのパン好きが移ってしまったのか。

いいや、コーヒーにはパンであろうという考えだ。

 

さすが進学クラスだけあって、昼飯、いやお昼ご飯の食べ方も上品な生徒が多い(多分)。俺とりょうがもその進学クラスの一員だ(のはずだ)。

 

そんな教室のドアを勢い良く開け、友一が入ってくる。

 

表情を見ると相当焦っている様子だ。

 

 

友一「はあはあ、大変なんだ・・・はあ」

 

呼吸を整えながら俺たちの方へ来る。

 

なぜ隣のクラスなのにこんな息が切れているのだろうか。

 

 

りょうが「どうした」

 

ここで、池田がやられた。と友一が言い、なんだと!?と立ち上がり3人で走り出すのがごくせんである。

 

しかしこれはごくせんではない。

 

りょうがの問に友一が答える。

 

 

 

友一「箸忘れた!!」

 

 

これが俺たちである。

 

 

耕平「弁当はあるのか?」

 

 

友一「弁当はある!けど箸がない!」

 

 

りょうがが笑いながら胸ポケットにあるボールペンを2本渡す。

 

それを受け取り、友一が俺の方を見る。そして詰めより、

 

 

友一「これで食べろってこと!?」

 

 

耕平「なんで俺に聞くんだよwww」

 

 

りょうがの方を見るとまだ笑っている。この感じだとあと4時間はこの状態だ。

 

 

友一「食べ終わったら貸してよ!洗濯して返すから!」

 

それは体操着を借りる時の言い方だろ。

 

 

耕平「貸してやりたいのは山々何だが、俺たちパンだから箸ないんだよ」

 

 

友一「じゃ、じゃあ弁当交換しようよ!」

 

 

耕平「女子かよ。箸ないのにどうやって食べろっていうんだよ」

 

 

りょうが「これ使えよw」

 

 

そう言い、また笑い出す。

そのタイミングで、同じ進学クラスの翔平と泰一がトイレから帰ってくる。

 

 

翔平「なにどうしたのいつもより顔きもいけど」

 

 

友一「耕平もなんかあったの!?」

 

 

翔平「いやお前だよ」

 

 

耕平「なんでいつもキモい=俺になるんだよ!」

 

 

りょうが「こいつ箸忘れたんだってww弁当は持ってきてるのに箸忘れたんだってww」

 

 

翔平「母親の入れ忘れか。疲れてるんでしょ」

 

 

りょうが「それでwwボールペンで食べようとしてるのよww」

 

 

友一「違うよそれはりょうがじゃん!!」

 

 

泰一「なるほど。少し、整理していいか?」

 

いつものように泰一の独特の世界に誘われる。

 

 

泰一「まずは、友一が忘れたのではなく、母親の入れ忘れってことだろう」

 

 

友一「うん、そうだよ。でもそんなのどうでもいいの!何の解決にもならない!」

 

その通りだ。普段からそれくらい的確な発言をしてほしいものだ。

 

 

泰一「いいや、そんなことはない。まずは母親の疲れを取ることが先決だ」

 

 

翔平「と、言いますと?」

 

 

泰一「友一、俺が言うのも何だが、家事くらい手伝ったらどうだ」

 

 

りょうが「確かに。泰一の言うことも一理あるな」

 

 

友一「待ってよ!わかった!家事は手伝うよ!?でもそれで今日箸が手に入るわけではないでしょ!?」

 

 

りょうが「だから今日はこれ使えってwww」

 

 

友一「もうりょうがは黙ってて!!」

 

 

ため息を尽き、泰一が弁当を広げる。

 

そして箸を1本友一へ渡す。

 

 

泰一「これ使っていいよ」

 

 

友一「た、泰一・・・」

 

 

泰一「1本だとお行儀が悪いし食べづらいかもしれないが」

 

 

その様子を見て、同様に翔平も箸を1本渡す。

 

 

翔平「今回だけだからな」

 

 

友一「翔平・・・」

 

 

困ったときには助け合う。たとえ自分に利益がないとしても。それが俺たちのモットーだ。

今回は利益どころか箸を1本失ってしまう。しかしそれでも放っておけないのが彼らなのだ。

 

何度もお礼を言い、友一は去っていった。

 

見たことない箸の使い方をする翔平と箸を折って無理やり2本にする泰一。

それでも何も文句を言わず食べている。

 

 

先に食事を終えたりょうがとトイレへ向かい、友一の教室を覗く。

 

きっと感謝の涙でしょっぱいご飯を食べているのだろう。

 

友一の食事している姿を見て、りょうがと顔を合わせる。

 

 

 

 

おにぎりじゃねーかよ