僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

結構なお手前で!!!!


大学生活では3回目となる長い長い夏休みが終わりかけたある日。
俺たちは目の前に出された湯呑みの前で正座をしていた。


遡ること3日前、妹から文化祭に来ないか、と誘いを受けた。どうせ暇だし行くよ、と返し適当に他の奴らを誘ってみた。そこで集まったメンバー池田、泰一、翔平(生年月日順)と文化祭に行くことになった。
地元から車で向かい、1時間ちょっとかけて到着。校門の前で妹と合流。


耕平「さて、まずは軽く焼きそばでも食うか」

まずは腹ごしらえだ。腹が減ってはなんとやら、俺たちは今日ここを攻略しなければならない。そんな俺の簡単な提案に端からガチ◯コでぶつかってくる。


池田「焼きそばって気分じゃねーよな」

アホか。文化祭、言わば素人のお店にこいつは何を期待している。インドに行ってカレー食べないようなもんだぞ。


池田「今日は気分がいいから奢ってやるぞ!寿司行こうぜ!」

だからアホか。もはやこの文化祭と言う檻から抜け出すことになるぞ。せっかく可愛い可愛い妹の文化祭に来たと言うのになぜその檻から出ようなんてことを言える。

 


妹「車で20分くらいのところに回らないお寿司屋さんがあったはず」

 


何寿司に負けてるんだよ。お前文化祭の実行委員じゃねーのかよ。さっきの俺の思いが台無しじゃねーか!

 


翔平「まぁまぁ、とりあえず中入ろうよ。見ないことには決めれないでしょ?」

 


泰一「だな。寿司はまた今度奢ってもらう。これは約束だ」


友一とりょうがの代わりを演じきった池田の表情は何かを成し遂げたそれだった。

 

さて、校内に入り、友達を紹介されつつ各々適当に屋台を回る。

友達がいないから誘ったんじゃねーぞのアピールだろうか。はたまた、お前とは違ってこんなにいい友達がいるんだぞのアピールだろうか。俺は後者を受け取った。生まれ変わったらきっともっといい友達を作るんだ・・・。

飯を食べた後はデザートだろうか、茶道部が開いている茶道体験があると聞く。

 

中に入り、座布団へ正座をする。着物を着た女の子と先生らしきおばさんが挨拶をする。用意をしてくると、隣の部屋に戻る。

ちなみに俺たちは誰ひとりとして茶道の作法を知らない。

 

翔平「なんか緊張するなあ」

 

 

池田「そうだね」

 

友一とりょうががいなくて良かった。俺の友達で打線を組むならクリーンナップはあいつらと泰一だ。しかし泰一は眠る大砲。起きなければ何ら問題ない。

 

そして小声で話す彼らを横目に俺は1つ疑問を抱く。それは席順だ。左を見ると俺の横に翔平、池田、泰一の順に座っている。これは納得だ。なぜ俺の上座に妹がいる。社会に出ると知らないでは済まされない。これは直ちに言わなければならない。

 

 

耕平「おい、なんでお前が上座に座ってんだよ」

 

小声で言う。

 

妹「は?お前ら私より立場下だろーか」

 

大声で言う。

 

否、反論の余地なし。左を見るとどうやらみんな納得の表情をしている。

 

さすが伊達に武道をやっていたわけではない。その辺はしっかり理解していたと、ひとまず安心。それでいいのかお兄ちゃん。

 

そうこうしていると、奥から女の子が登場し、一口サイズの和菓子らしきもの置き、また奥へ引っ込む。

 

物珍しそうに見る泰一に料理のプロ池田が説明する。

 

 

池田「見た感じ栗のお菓子だな」

 

 

翔平「これ食べていいの?それともお茶出て来るまで待つの?」

 

何度も言うが俺たちは誰ひとりとして茶道の作法を知らない。

ただ、現状知っている知識で、考え行動をする力はある。

 

 

池田「たぶんだが、お通しみたいなもんだろ」

 

 

翔平「じゃあ特に作法はないのかね」

 

 

池田「でもビール飲むのにつまみ先に食べるってのもおかしな話じゃね?」

 

 

耕平「俺はお通し先に食べちゃう派だな」

 

 

翔平「なんかつまみ、じゃなくてお菓子注文するの?」

 

 

耕平「どっかにメニューある?」

 

 

池田「あるわけねーだろ居酒屋じゃないんだぞ」

 

 

耕平「じゃあお通しってのもおかしいだろうが」

 

 結局正解にたどり着けないまま俺と翔平は一口で食べる。他のメンバーはお茶のお供にするらしい。

今ブログを書きながら作法を軽く調べているのだが、どうやらお茶が出てくる前にお菓子を食べ終えるのが作法らしい。しかし厳密に言うと一口で平らげるのは違う。なんか説明長ったらしいから省く。

 

次に着物の女の子が湯呑みを1つ持って現れた。妹の前に置かれる。小声で、回して飲むんだよね?と妹が質問をする。え、あー、うん!と返事が来る。わかった。と小声で返事をする。そしてまたそそくさと奥へ引っ込む。なんか忙しそうで申し訳ない。

 

湯呑みを回し、お茶を一口飲む。

 

 

翔平「美味しい?」

 

 

妹「・・・普通の抹茶」

 

 

耕平「美味しい?うん、美味しいまでが会話のテンプレだろ。普通ってなんだよ」

 

さて、次は俺の番だろうか。そう思うが中々こない。

 

 

池田「2,3分経ってるけどこないな」

 

 

翔平「まぁ大人数だし時間かかるんじゃない?」

 

 

妹「もしかして」

 

 

池田「どうした?」

 

 

妹「さっき、小声で回して飲むって言ってたの。つまりこれみんなで飲めってことじゃない?」

 

 

耕平「んなわけねえだろww」

 

 

妹「絶対そうだよ!だって回して飲むんだよね?って聞いたら少し戸惑ってその後なんか納得したよう、にうんって返事してたもん。つまり湯呑みを回す?当たり前じゃん。あ、隣に回すってことか!そうだよってことだと思うの」

 

 

耕平「お前、思考回路戦慄迷宮だな」

 

 

泰一「確かに。こーちゃんジュニアの言う通りかもしれない」

 

 

耕平「いやいやおかしいだろ。こんだけしか入ってないんだぞ?1人3mlくらいしか飲めねえぞ?」

 

 

池田「耕平、少しは最悪の事態を考えろ。湯呑みの数とか」

 

 

耕平「湯呑み1つしかない茶道部ってどんだけ部費節約してるんだよ」

 

 

翔平「お茶切れとか?」

 

 

耕平「なら暖簾閉めてるだろ」

 

 

妹「いいからさっさと飲んで隣に渡せ」

 

 

耕平「え、俺おかしいこと言ってる!?」

 

多数決で圧倒的敗北を喫し、仕方なく湯呑みを受け取り、クルクル回す。

 

否、

 

奥から着物の女の子がお盆に乗せ、湯呑みを4つ持ってくる。

 

あれ?と、戸惑った表情。

 

 

池田「おいおいどんだけ喉乾いてるんだよ。妹のお茶飲もうとするなんて。しかもちゃっかり湯呑み回しやがって」

 

 

泰一「焦る必要はない。時は来る」

 

 

耕平「えっ?は?」

 

 

妹「ごめんねバカな兄貴で。続けていいよ」

 

湯呑みを置き、また奥へ引っ込む。

 

 

翔平「ついてなかったな」

 

 

耕平「お前らなんでこんな時だけ攻守の切り替え早いんだよ」

 

お茶を飲む。思ったより苦くなく、飲みやすい。正直なところ抹茶味の~はあまり好まないがこれならいける。

ちなみに回す事に意味はなく、正面を避けて飲むために回すらしい。

 

一息入ったタイミングで、先生が来る。

 

 

先生「どうでした?」

 

 

妹「とても美味しかったです」

 

おいさっきと言ってること違うじゃねーか。

 

 

池田「結構なお手前でした!!」

 

口だけは達者なやつだな。何が結構なお手前だよお通し小僧が。

 

 

泰一「結構なおうぇ、前でした」

 

おはよう眠る大砲。

むせるタイミングすさまじいなおい。

 

よくわからないまま、部屋を後にする。

 

今ブログを書きながら、軽くではあるが茶道について調べ、勉強になった。ブログに書かなければただの奇行種止まりだったかもしれない。

 

その後は至って普通に楽しみ、そして解散。楽しめたが疲れた1日だったな。そう思う一同だった。

 

 

 

さてそろそろ

 

約束のお寿司発動しようか。