僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

部屋から見える、1本の梅の木

 

毎年2月中旬になると俺の部屋の窓から見える梅の木があった。

群れることなく、1本、細々とだが堂々とそこに居座っていた。少し芽が出るたびにもう春が迎えに来ているなんて思っていた。

 

大学も春休みに入った頃、目を覚まし雨戸を開けるとそこには毎年見る風景が映っていた。今年から本格的に就職活動だ。何もない木がゆっくりと花を咲かせる過程を見ると、これから社会に出て右も左も分からない状態から俺も成長していくんだ、そう自分を奮いたたせる事が少しできた。毎年見ていたはずなのに、何故かその時はすごく美しく見えた。

 

夜になるとちょうど梅の木に埋もれた街灯が梅をライトアップさせる。暗い中ライトアップされた梅もまた美しく、見ごたえがあった。

 

日に日に芽が大きくなっている。芽を出している期間が短いため、成長が早い。明日起きた時にはどれくらい大きくなっているのだろうか。そう思い、眠りにつく。

 

大きな音で目が覚める。時間は10時。伸びをし、目を擦りながら窓を開ける。強い日差しが差し込む。今日もいい天気だな、なんて思っていると梅の木にハシゴを立て、登っている少年がいた。

 

彼は振り向き、俺に声をかける。

 

 

泰一「おはようこーちゃん」

 

なぜそこに泰一がいるのかもわからず、挨拶を返す。

 

耕平「おはよう。何やってんの?」

 

俺の問に泰一が答える。

 

泰一「仕事で街灯をLEDに変えている」

今日は俺の住む地区をやるとのこと。

 

耕平「へえー大変だな」

 

 

そう言い、下に目を向けると、ハシゴを支えるおっさんが1人。顔見知りであるため、軽く挨拶をする。

 

耕平「で、さっきからでかい音がするんだけどなんなの」

 

俺の問に泰一が答える。

 

泰一「この梅の木が作業の邪魔になるから枝を切ってる」

 

耕平「へえー大変だな」

 

 

うぇいと!!ぷりーずうぇいうと!!

 

 

耕平「え!?それ切るの!?」

 

 

泰一「うん」

 

このタイミングでこの少年は、この街は、何を考えていやがる。

 

 

泰一「ここを通る人が木が邪魔で明かりの意味がないと言われたってのもある」

 

 

意味がない!?この絶景が!?どれだけ心にゆとりがないのだ。

 

 

泰一「この辺は人通りが少ない。それに」

 

 

耕平「なんだ」

 

 

泰一「近くに変質者が住んでいる」

 

 

耕平「おい指差すな!まるで俺が変質者みたいじゃねーか!」

 

その通り、と頷く。

 

これから満開に向けて少しずつ、芽を出す梅の木。俺の人生で言うなら会社に入り、少しずつ仕事を覚えていくところだ。そんなタイミングで切り落とされる。少し前に自分の人生と梅の過程を重ねていたというのにこれはひどすぎる。

 

俺は心の中で涙を流し、小さな声で言った。

 

 

耕平「これじゃあまるで・・・池田じゃねーかよ」