僕らの現実非日常?

こーへえと仲間たちの日常

天気が良いと気分も良い

 

それは今日みたいな暖かい日。

 

天気が良く、気温も程よい。寒いと動きたくない、暑くても動きたくない俺であるが、ちょうど良い気温だと少し心が浮かれる。

 

冬が過ぎ、油断しているとまた寒さが来そうな春、気持ちの良い日差しと風が頬をかすめる、そんな金曜日の学校の帰りに俺と同じく気分が良かったのであろうりょうがが、俺の右を歩きながら少し浮かれた顔で

 

りょうが「今日はお前んちに行くぜ」

と言っている。

 

おいおい、今日はってなんだよ。ここ数ヶ月、いや数年バイトがない日は毎日のように来てるだろ。そう思いつつも気分が良いので笑顔で了承する。

 

そして俺の左側にいた友一も浮かれた顔で

友一「俺も行く予定だよ!」

と言っている。

 

おいおい、俺の家に来るのになんで俺に何も言わないで予定立ててるんだよ。そう思いつつも気分が良いので笑顔で了承する。

 

駅につき、泰一と合流する。

 

泰一「ジャンプ読んでからでいい?」

 

おいおい、まず誘ってねーから。そう思いつつも気分が良いので笑顔で了承する。

 

電車の中でもいつも以上にキモい会話が弾む。

 

 

友一「見て!海がキラキラしてるよ!まるで宝石箱や!」

 

 

耕平「ははは!箱がキラキラしてるなんて豪華な話だな!」

 

 

りょうが「ははは!まったくだぜ!しかし海は素晴らしいな!」

 

 

泰一「ははは。この景色を見れば疲れが吹っ飛ぶな」

 

と、爽やかな笑顔で会話をしているが毎日見ている景色だ。同じメンバーで昨日も見たし一昨日も見た。

最寄り駅に到着し、家へ向かう。道端に咲いている花を見て、なんて美しいんだ、というりょうが。雲が流れている空を見上げ、雲一つない青空だ、と言う泰一。いつものようにスキップをする友一ら一同に対し、今日は何もツッコミを入れない。気分が良いからだ。

 

コンビニへより、アイスを俺のかごに入れる友一。ジュースを俺のかごに入れるりょうが。それをジャンプを持っている泰一に渡すも、何も言われない。恐らく気分が良いのであろう。

 

天気1つでここまで気分が良くなるものだろうか。寒い冬。冷たい風を受けながら顔をマフラーで隠して登校。手がかじかんでペンを持つ手が震える。昼休みは窓際で日向ぼっこ。

そんな日々を過ごしてきて、いよいよ訪れた春。待望の春。殺しに来る冬の冷たい風ではなく、生きているかのような暖かい風。そして金曜日の放課後。完璧なシチュエーションだ。

そう考えると気分が良くなるのもわかるだろう。いつもと変わらぬ日常に訪れた季節の変化を体全体で受け止める。

 

そんな気分が良い中、携帯の着信が鳴る。池田からだ

 

耕平「もしもし?どうした」

 

池田「今日さ、バイト1人休みたいってから代わりに出れない?」

 

耕平「何時から?」

 

池田「オープンからだよ。1時間後」

 

おいおい、よりによって俺かよ。こんな気持ちの良い気温の日にバイトかよ。

 

そう思いつつも気分が良いので笑顔で了承する。

 

 

耕平「わりい、バイトだ。んじゃ解散

 

急いで駅へ向かう俺に笑顔で手を振る一同。

ドタキャンしたのにも関わらず、頑張ってこいよ!と激励の言葉付きで見送られる。

 

バイト先へ到着し、池田に挨拶をする。

 

 

耕平「久しぶりだな」

 

池田「今朝会っただろ。それよりこれ見ろ」

 

真面目な顔で言う。そして渡された予約表を見て驚く。

 

おいおい、満席じゃねえか・・・。

 

よくよく考えれば今日は金曜日。居酒屋が混まないわけがない。しかし気分の良い俺は袖を捲り、やる気を見せる。

 

 

5時間後、激闘が終わる。

 

池田「終わったー!!」

 

 

耕平「・・・おつかれ」

 

 

池田「いやー忘年会シーズン並みの激闘だったな」

 

 

耕平「・・・そうだな」

 

どっと疲れた。家に帰ってゆっくり寝よう。明日は休みだ。部活ももう辞めたし、本当の休日だ。

 

 

家へ帰る。電車越しに見る月に照らされた海を見るも、いつもの景色と何ら変わりない。最寄り駅から家までの道のりが地獄のようだ。花は咲いているし、星はきれいだが、何より1歩1歩が疲れ、特別な感情は生まれない。

 

家のドアに手をかける。風呂入って速攻寝よう。

 

耕平「ただいまー」

 

母親「おかえり」

 

着替えを取りに、部屋へ入る。

 

友一りょうが「おかえりー!」

 

 

耕平「・・・てめえら人んちで勝手に遊んでんじゃねーよ!!」

 

 

笑顔で俺の母親の手料理であろうパスタを食べる3人は、どうやらまだ気分が良いようだ。