読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

僕らの現実非日常?

こーへえと仲間たちの日常

勝つためには

 

友一と外でアイスを食べているとゲームセンターの中から池田が手招きをする。食べ終え、中に入るとりょうがが無言でクレーンゲームを指差す。

 

 

耕平「取れ、と?」

無言で頷き、俺をクレーンゲーム手前まで導く。100円のクレーンゲームの商品はじゃがりこ3つだ。

 

 

りょうが「いいことを思いついてしまった」

どうせろくでもないことだと思いつつ、アイスを食べている間一緒にいたであろう、まぁこの中ではまともな池田に視線を向ける。しかしどうやら池田はりょうがの案に乗ったらしい。そんな表情をしている。

 

 

耕平「なんだ」

待っていたように説明を始める。

 

りょうが「じゃがりこ、コンビニで買うといくらだ」

 

 

耕平「150円位?」

 

 

りょうが「その通り。3つで450円。それが100円で取れる」

 

 

耕平「買うよりお得だな」

 

 

りょうが「その通り!!」

 

 

耕平「で?」

 

 

りょうが「俺と池田は今じゃがりこが食べたい。100円で買ってやるよ」

 

 

耕平「やればいいじゃん」

 

 

りょうが「バカか!経済を回すんだよ!お前がやって、取り、それを俺らで買い取ってやる」

つまり俺がじゃがりこ3つを100円で取り、りょうがと池田で1個買うからお前(俺)はじゃがりこ1個と100円浮く。そして彼ら2人はコンビニで買うより安くじゃがりこを買うことができる。ウィンウィンと言うやつだろうか。そう言いたいらしい。

池田が、仮に失敗しても3回以内で成功すれば浮くぞ、と付け加える。

 

まったくもってアホらしい。そもそもクレーンゲームとして商売できていると言うことは、ほとんどの人間が元を取れていないということだ。あるいは結局商品を取れずに終えているかだ。もちろん中には1発で取る強者もいるだろう。しかし、1発で取る強者がいる中で、この商売が成り立っているということは、比率的にも圧倒的に前者が多い。以上を考察の元、これは俺が不利ということがわかってしまう。

現に俺が取っても取らなくても、池田とりょうがは得はするが損はしない。つまるとこ、この仕組を理解した上で、この挑戦に挑むのはバカか、あるいはノリだけで生きているバカしかいないわけだ。総じて言うと、バカだ。

 

 

耕平「やってやるよ」

こうして、一人のバカが立ち上がった。

 

 

耕平「いいか、これは俺とお前らの勝負だ。もし1発で取ったらクレーンゲーム代はお前らが出せ。それと2個じゃなくて3個買い取れ」

 

 

池田「なるほど。つまり1発で取ったら俺らは2人で400円出費しなければならないということか」

隣で指を折って首を傾げているりょうがを見て池田が解説する。

 

 

耕平「その代わり、1発で取れなかったら3個を200円で売ってやる。もちろんゲーム代は俺が出す」

 

 

池田「1回で取ったら耕平の勝ち。2回目で取ったら耕平から見れば引き分けということか。まぁ1回目で取らない限り俺らは損しないけどな」

 

 

りょうが「良いだろう!受けてやる!」

 

 

耕平「それ俺のセリフだけどな?」

こうして始まったクレーンゲーム対決。圧倒的に俺が不利な状況であるが、この定められたルールの抜け目を狙い考える。勝つために考える。

 

 

耕平「よし、友一。100円入れるから1回やってみろ」

 

 

りょうが「なんだと!?」

 

 

耕平「これは俺の1回目じゃないからな?」

確実に勝つためには少しの投資は必要になってくる。俺は決してクレーンゲームが得意なわけではないが、アームの強さなどの情報は見ておく必要があると判断した。それに俺にとっては1発勝負だ。たかが数百円ではあるが、こいつらには負けたくない。こうしたくだらない戦いは日常茶飯事だ。しかしその都度全力で勝負に出る。それは俺だけでなく、みんな全力だ。

 

 

友一「わかったよ!」

 

 

耕平「いいか、あの輪っかが赤いやつを狙うぞ。できることなら少し近づけてくれ」

 

 

友一「任せて!2対2ってことだね!勝とう!」

友一のクレーンゲームの下手さは神がかっている。が、それでもボタンの感度、アームの降りる高さ、アームの開き具合、これくらいの情報は手に入れることができる。この中で1番頭を使っているのは間違いなく俺だ。ずるいぞ、と言うりょうが、2回目でも足が出るぞとプレッシャーを与えてくる池田、俺に、任せとけー!と叫ぶ友一。状況は少し有利になっている。

100円を入れ、アームを操作する。色々な角度から眺め、下手なりに操作をしている。ボタンを離し、正面から見るとちょうど良い位置に止まる。視点を変え、2つ目のボタンの操作に移る。ボタンを離し、アームが降りる。

 

友一「どうだ!」

ゆっくりとアームが降り、掴む。アームの片側にちょうど輪っかが引っかかる。それを持ち上げ、揺れながら移動をする。

 

 

友一「おお!」

途中落ちそうになりながらも、じゃがりこは見事に穴に落ちた。そう、あの友一が取ったのだ。

 

池田「お前すげえな」

 

 

りょうが「やるじゃん!」

敵のチームにも感動を与える見事な操作だった。俺は予想外な出来事に言葉が出てこない。そして友一は照れながらりょうがと池田にじゃがりこを渡す。

 

 

りょうが「よし、じゃがりこも手に入ったしそろそろ場所移動するか」

 

 

池田「そうだな」

呆然としている俺にりょうがが声をかける。

 

 

りょうが「さっきのはお前の1回目じゃないからな!!」

こうして俺達の戦いは終わった。

笑顔でじゃがりこを食べる3人を見て、俺は友一にアイスを奢ったことを後悔した。

 

俺の一人負けじゃん!!

 

 

 

▼よろしければどうぞ▼