僕らの現実非日常?

こーへえと仲間たちの日常

その一瞬、感じるものは大体気のせい

大人になって久しぶりに会った小学生の頃の同級生とか、その当時の顔と比べてもなんとなく面影が残っているから分かる。成長してもやっぱり分かる。整形でもしてない限りはね。その面影に似た感じで、ガキの頃からの癖っていうか何ていうか、変わらないものってあるよね。お前昔っからバカだよなー!みたいな。それでも一瞬、刹那、あれ?珍しいって思うことがある。雪でも降るんじゃないか?って感じのやつ。

 

せっかくGWだったのでみんなでお出かけすることになった。特に目的地は決まってないが、静岡方面へ車を走らせる。りょうがが、美味いものが食べたいと言うので、泰一運転の中、他のメンバーは携帯片手にお店を調べる。友一が、俺5000円しかないからね!と、予算を心配するが、5000円あれば十分だろう。銀座の寿司屋にでも行くつもりなのだろうか。

そんな友一が気を利かせてか、運転中の泰一に尋ねる。

 

友一「泰一はどんなものが食べたい?」

少し悩んでから答える。

 

泰一「イタリアンが良い」

 

耕平「なるほど。普段行かないし、たまには良いかもな」

GW、それもランチというお洒落な言葉尽くしの今日にはもってこいの提案だ。珍しくなんでも良い以外の意見を言った泰一を褒めてあげたい。そして普段流されがちな泰一に最初に質問した友一も褒めてあげたい。もう20代も半ばだし、そろそろこんな感じの、普通の会話が連発してもおかしくない。むしろそれが普通だ。

 

泰一「たまには、良いでしょ?」

俺は携帯でイタリアンのお店を探す。りょうがもイタリアンな!そう言い、携帯で調べている様子だ。普段は決定権を握ることが多いりょうがであるが、一歩引き、珍しく大人な行動を取る。そして同様に友一も相槌を打ち、泰一に言葉を返す。

 

友一「イタリアンかー。ラーメンなんてどう?」

果たして泰一への質問に意味があったのか。早速先程まで感じていた成長ぶりに疑問が浮かぶ。イタリアンのイの字もないラーメンを候補に挙げる。俺の中ではてっきり、イタリアンのお店をみんなで探し、良さげなお店を挙げていく。この展開を予想していた。今日は泰一先輩に付いていきます!そんな流れだと思っていた。なにせ泰一が意見をいうのは中々レアなことだから。

 

友一「ねえ泰一!ラーメンなんてどう!?」

それも今からほんの数秒前にイタリアンが良いと言った男に向けての質問であった。もはや俺とりょうがは友一の眼中に入っていないようだ。確かに俺は今、気分的に何でも良い。だからラーメンでも構わない。しかしそんな俺を無視していきなりイタリアンに行きたがっている童貞の泰一先輩に喧嘩を売るなんて行為黙って見過ごす訳にはいかない。

俺が言葉を発しようとしたと同時に泰一先輩から言葉が出た。お前らは見ていてくれ。そう言わんばかりの堂々とした姿勢で言う。

 

泰一「いいよ」

 

耕平「いいんかい」

 

早速、泰一は成長していなかったことが判明した。

 

泰一先輩のこの奇行に子分のりょうががブチ切れる。

 

りょうが「おい泰一てめえ!俺が必死こいてガスト探してるって時になんてこと言いやがる!」

 

次に、りょうがも成長していなかったことが判明した。

 

耕平「ガストかよ」

ガストってお前、どこからツッコめば良いんだよ。じゃあまず、どこにでもあるだろ。せっかく車出してみんなで出かけてるのにどこにでもあるガストってチョイスはねーだろ。どこにでもあると言えば、高校生の時りょうがとサイゼに行った際に、真顔で、ここのペペロンチーノはいつも行くサイゼのペペロンチーノよりうめえな!って感動してたな。

 

ミラノ風ドリア食いながら。

 

そんな頭のおかしい子分が変なこと言うものだから流石の童貞泰一先輩もにすぐには言葉が出てこなかった。かろうじて出てきた言葉が、

 

泰一「ありがとう」

ただ単に、感謝の言葉を口にしたのだった。

ラーメン派の友一への攻撃は全く意味が無いまま終了し、続いて友一の攻撃に移る。もはや泰一先輩はなんでも良いらしいが、俺とりょうがはそうではなく辛うじて戦闘態勢を保っていた。何度も言うが、何を食べても構わない。恐らくりょうがも同じだ。だがあの泰一が、そう普段から流されがちな泰一がイタリアンがいい。そう言ったのだ。これは友として成し遂げなければならない。泰一の夢を叶えたい。そんな単純な気持ちがあるだけだ。そして、友一の攻撃が始まる。

 

友一「もう少し先に隠れた名店、個人的にはそう思っているラーメン屋があるよ!」

 

りょうが「ほう、詳しいんだな」

 

友一「りょうがが好きそうなさっぱり感あるし、泰一も文句ないくらいサイドメニュー豊富だよ!さらに大盛り無料だし、それでなんと700円!財布にも優しい!」

こいつ。なかなかいいプレゼンしやがる。

 

友一「あ、そうそうつけ麺もあるから猫舌の耕平も安心して!」

もはや反撃の余地なし。空腹も限界に近いし、もうそこで良いだろう。ああ、さっきまでの威勢はどこに行ってしまったのか。しかし友一がこうも説明が上手いのも珍しい。序盤に1番成長に疑問が浮かんだが、それは俺の気のせいだったのかもしれない。念のために泰一に確認を取る。

 

耕平「俺はそこでいいけど、泰一は?」

 

泰一「いいよ」

泰一の夢を叶えられなかったのは残念だが、誰にでも合わせることができる、それは長所だ。こうやって我が強い奴らがいる中、上手く協調性を保てているのも泰一みたいな存在がいるからだろう。そして何より、友一が少し大人に見えた。まさに雪でも降るんじゃないか、そう思わせる言動だった。

 

友一「そこがいいって無理だよwだってもう潰れたもん!」

 

 もうお前優勝でいいよ。