僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

無課金でネトゲを制覇しそうになった話

 

―絶対に負けられない戦いがそこにはある―

 

f:id:catastrophe127:20170614084335j:plain



池田「ついに、ここまで来た」
スカイプでギルドマスターである池田が指揮をとる。

池田「落ち着いて、作戦通りに行くぞ」

りょうが「おう」

泰一「わかった」
ネトゲのGVG(ギルド対ギルド)の決勝まで足を進めた。毎度のことであるが、基本的に無課金、そして身内ギルド(リア友で編成されたギルド)でプレイをする。今回ももちろん例外でない。しかし、無課金プレイでこのギルド戦の決勝まで進むのは前代未聞であった。いわゆる課金ゲーと言われるゲームで、課金者には到底敵わない仕様になっている。それは当たり前のことで俺たちも承知している。ではなぜ、この決勝に俺たちがいるのか。

傭兵A「がんばろー!」

傭兵B「がんばろー!」

どこで知り合ったのか、ゲーム内でも強いと名高いプレイヤーを数名池田が連れて来た。ようは彼らのおかげでこの決勝まで進めたのだ。俺たちはと言うと…。集中力、気合いともにおそらく今までプレイしたネトゲの中で、いや私生活でも群を抜いていたに違いない。それに反し内容は…言わないでおこう。

そしてルールであるが、※以前書いたネトゲの記事に少し似ていて、陣取りである。違う点は、守る側と攻める側に別れている。相手の陣地内の結晶を破壊するか、結晶を守るかである。今回俺たちは攻める側だ。守る側はひたすら攻めてくる敵を倒したり、陣にある結晶を回復魔法で回復する、と比較的シンプルに立ち回れるのに比べ、攻める側はマニュアルがない。両者メリットデメリットがあるが、池田は攻める側が選ばれた時ガッツポーズをしていた。

 ※

catastrophe127.hatenablog.jp

 
耕平「決勝の相手は予想通りあいつらだ」

友一「なんか毎回優勝してるよね」
相手はチート疑惑が浮上するほどの強者を揃えていた。傭兵に来たプレイヤーが自ら言う。そこに入ったとしても、トップまで登るのは無理だ、と。月に1回行われるギルド戦であるがほとんど毎回のように優勝している。
対し俺らは高校生による無名の遊びギルド。意地とプライドで負けるわけにはいかないだろう。それに人数的にも圧倒的に相手のが有利だ。

池田「開始5分前だ。作戦のおさらいするぞ」
再び池田が指揮をとる。

池田「まずステータス体力全振りの友一」
このゲームではステータスを自分で振り当てることができる。大まかに言うと、攻撃力、体力、回復力、回避力、命中力の5つである。他にも、回復力に振るほどクリティカルヒットしやすいなど、細かい仕様があるが省く。池田の作戦ではそこを利用し、各ステータスに特化させ、5人で1つとして機能させると言うものだった。決勝までは傭兵陣のおかげでほとんど何もしなくて済んだが、決勝はそうはいかないと池田は踏んでいた。

友一「はい!」

池田「まずは回復力全振りの泰一ととにかく敵を集める」

友一泰一「わかった」

池田「そこで集めた敵に命中全振りの耕平と俺。相手の動きを止める技だ」

耕平「わかった」

池田「最後に攻撃全振りのりょうが。りょうがはとにかく陣地内の結晶を破壊してくれ」

りょうが「っしゃあ!気合入って来たぜ!」

要約すると、まずはサンドバッグとなる友一が逃げながら敵を集める。敵からすれば倒す以外の選択肢はないから必然的に狙われると池田は言う。
そこで友一にヒールをする泰一。少しでも長持ちさせるためである。そして回復にもクリティカルヒットが存在し、クリティカルヒットすると回復量が2倍になる。回復力に全振りの泰一の攻撃、回復は非常にクリティカルヒットしやすい。
集まったところに敵の動きを止める全体攻撃を持つ俺と池田で動きを止める。このスキルは再使用時間が他の攻撃よりも長いため、2人当てたとのこと。俺のと池田のでは敵の動きを止めることは同じだが、スキルの概要が少し違う。池田のスキルは俺の攻撃より威力が高い。しかし俺のスキルは威力が低い代わりに、一定時間状態異常のカースと言うものを付与できる。このカースと言うものは、回復すると、その回復量のダメージが入る。つまり回復封じになるのだ。ちなみにこの俺の動きを止めるスキルの名前はグラシアだ。
規則正しいタイミングで交互にやれば結構な時間稼ぎになる。
そして攻撃力全振りのりょうがはその間にひたすら結晶の破壊に徹する。結晶に対しては攻撃が必中するため攻撃力以外のステータスは不要だ。

池田「あといつも通り開始時にペット消すためにグラシア頼むな」

耕平「はいよ」

池田「それとチーム内攻撃オフにしとけよ」

りょうが「言われなくとも。昨日からしてるわ」

ペットは1人1匹連れて歩く事ができる。連れて歩くとプレイヤーのステータスを底上げすることができるが、プレイヤーが密集しているところだと池田のような低スペックパソコンだとカクカクになった挙句、多々サーバー落ちしてしまう。サーバー落ちと言うのは、ネット回線が切れてしまうこと。つまりゲームから強制的にログアウトしてしまうのだ。しかし仕様なのかバグなのかは不明であるが、グラシアを使うとペットの表示が消える。ペットが消えるだけでだいぶサーバー落ちしにくくなると池田は言う。池田とプレイする時には必ずグラシアを使ってペットの姿を消してからプレイしていた。このトーナメントでも同様に開始時に必ずグラシアを使っていた。
チーム内攻撃はオンオフが手動である。オンにしていると味方へ攻撃が当たってしまう。

池田「よし、行くぞ」

スタートのカウントダウンが始まる。スカイプを通してみんなの緊張感が伝わってくる。それは俺が緊張しているからかもしれない。

友一「…勝とう!」
ここまでくるのに結構な労力した。勉強もろくにせず徹夜でステータスを振り直すために、無課金では過酷なクエストをみんなで協力して行い、装備を買うためにひたすらゲーム内通貨を集めた。無課金ならではの努力をしてきたのだ。

おかげで、傭兵陣の攻撃も耐える友一、回復量とクリティカル率が凄まじい泰一、回避に特化したプレイヤーにも命中できる俺と池田、友一に対して大ダメージを与えれるりょうが、特化した部分は無課金の中では最強クラスといっても過言ではない。準備は整った。

―無課金の底力見せてやる―

開始の合図だ。一斉にスタート地点にワープされる。

池田「耕平」

耕平「おけ」
まずは軽い気遣い、動作を軽くするためにペットを消す。キャラになりきる。

耕平「グラシアあああ!」
技名を叫び敵の動きを止める技を発動する。否。

りょうが「ちょ!動けない!」

池田「バグか!?」

泰一「俺も動けないぞ」
不具合か?しかし俺は動ける。範囲外に消しきれていないペットがいるため再び技を使う。

耕平「グラシアあああ!」

友一「ちょっと耕平の攻撃当たってる!」

チーム内攻撃をオンにしていたのだ。

耕平「ありゃ」

りょうが「やめろもう打つな!俺死にそう!」
攻撃力以外スッカスカのりょうがは敵の動きを止めるだけの攻撃で死にそうだ。

傭兵A「ちょっとゾウさんは大きいぞう(俺のキャラ名)命中率高すぎwww」
命中力全振りの俺の攻撃はしっかりと全員に当たっていたようだ。
こちらの動きが止まっている間に敵陣が一斉に集まってくる。まずい。

泰一「ヒール」
動けるようになった瞬間、即座に全体回復を使う。単体の回復より回復量が劣るが、そこは泰一。

しっかりとクリティカルヒットで回復量が2倍。否。

池田「バカ!!カースかかってるっつーの!!」
冒頭で述べたがカースは回復するとその分ダメージが入る。しかもクリティカル

友一と傭兵陣以外全滅。

池田「何内戦してんだよ!」
チャットのログが流れる。

傭兵A「おてぃんこMAX(泰一のキャラ名)の回復量えぐすぎwww」

傭兵B「左手が時にかゆい(りょうがのキャラ名)即死わろすwww」

傭兵C「友一(友一のキャラ名)かてえwww」

なんでお前本名で登録してんだよ!!

 

メス豚(池田のキャラ名)がログアウトしました。

 

しかもお前、結局落ちてるじゃねーか!!

―敵は自分自身―

とはまさにこのことだろうか。

 この結末は言うまでもない。前代未聞の戦いで幕を閉じた。

 

 Twitter始めました▶Twitter