僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

余りものには福がある?よく言えたもんだな

 

学校が終わり、地元のスポーツセンターを貸し切る。それぞれクラスは違うが、明日は球技大会だ。男子の種目はサッカーとバスケ。ここにいる6人はみんなサッカーを選んだ。

 

りょうが「みんな、よく集まってくれた!」

 

そう言い、指揮を取るりょうがであるが、この顔ぶれは昨日の放課後と全く同じであり、いつものことだ。昨日と違う点は、運動をする点である。

 

りょうが「知っての通り、明日は球技大会だ。泰一、お前は何を選んだ」

 

泰一「サッカーです」

 

なんで敬語なんだ。格好は卓球部だけあって卓球の格好をしている。ちなみに翔平もだ。友一に関しては真冬だというのになぜか海パンを穿いている。

 

りょうが「明日の球技大会、俺たちはかっこいいところを見せることができるチャンスだ!」

 

楽しそうに話を聞く翔平、いや見方によっては完全に馬鹿にしているような目だ。そして目をギラギラと輝かせる友一。もう寝ている池田。本当に大丈夫なのだろうか。

 

りょうが「よし、まずはリーダーを2人決める。そのリーダーでじゃんけんをし、勝ったほうが好きな選手をチームに加える。そしてゲームスタートだ」

 

ここで手を挙げ、意見をする。

 

耕平「俺1人VSお前らで良いんだけど」

 

そう、俺はサッカー部。池田とりょうがは経験者だが足元にも及ばないレベルだ。こんなフナムシみたいな奴ら、1人で十分だ。

 

りょうが「黙ってろロッチ中岡!」

 

耕平「いやどこがだよ」

 

りょうが「そうだな、泰一お前がリーダーをやれ」

 

泰一「俺で良いのか?」

 

りょうが「こういう時に経験しておくべきだ」

 

そう言うと、もう1人は俺がやると、自ら立候補し、リーダーが決まった。寝ている池田を友一が起こす。その間にりょうがが倉庫からボールを持ってきた。

 

りょうが「ちなみにだが、種目はバレーボールだ」

 

翔平「え?サッカーじゃないの?」

 

翔平の疑問はもっともだ。なぜなら明日は球技大会で、みんなサッカーをするからだ。そしてその球技大会の練習をすると言ったからには、サッカー、あるいはフットサルをやると考えるのが常識だ。そしてここに集まったメンバー、俺と翔平以外は常識を持ち合わせていない。

 

池田「友一こい!」

 

友一「行くよ!そーれっ!」

 

もうバレーをやっている。

 

無駄だ。考えるだけ無駄だ。まずは翔平に思考を放棄させることを教えなければならない。俺も翔平もこいつらと付き合いは長い。いつも常識はずれの言動に度肝を抜かれる。その都度、俺は翔平との友情が深まることを感じ、互いに常識を持っていると認識しあってきた。そして2人、支え合って、この狂った奴らの中、生き抜いてきたのだ。

 

翔平「こっちこっち!トス上げてー!」

 

耕平「・・・・」

 

俺以外、スムーズにウォーミングアップに入る。落ち着け。そうだ、わかった。この現状、見ればわかる。

 

1番狂ってるのは俺だ。

 

なわけあるかよ!!

 

りょうが「んじゃそろそろチーム分けしようぜ」

 

アップなのか遊びなのかは知らないが、各々が体を動かし、体を温める終え、チーム分けに入る。ちなみにバレー経験者はいないが、俺はこいつらの中では圧倒的に上手い自信があった。球技全般は得意な方だ。どっちのチームになっても問題はない。そして、幸いにも、俺が素人の中で上手いと考えているやつはいないようだ。精々わかっていても、幼馴染の翔平ぐらいだが、鼻毛が出ている時点でもう大丈夫だ。

 

泰一「よし、じゃんけんだ」

 

俺の中ではもう勝ちは決まっている。――俺を選んだほうが勝つ

それはもう間違いない。

じゃんけんの結果、りょうがが勝ったようだ。

 

りょうが「そうだな。身長が1番高い翔平!」

 

翔平は腰を上げ、りょうがの方へ行く。――っふ、バカめ。こりゃ泰一チームの勝ちだな。

泰一「池田」

 

同じく腰を上げ、泰一の方へ行く。――おいおい、なんで帰宅部の池田が2番目に選ばれるんだよ。チョイスのセンスなさすぎだろ。

 

続いてのじゃんけんも、りょうがが制す。――結局、神様はじゃんけんで最初に勝ったやつを選んだか。

顎に手を当て、俺と友一の表情を見る。友一を見ると、何故かお祈りのポーズをしている。なぜだ。りょうがは2度頷き、目を閉じ言い放つ。

 

りょうが「パス!」

 

耕平友一「なんで!?」

 

指名の権利が泰一に渡る。否。

 

泰一「パスだ」

 

耕平友一「だからなんで!?」

 

耕平「ちょっと待て。パスってことはないだろ」

 

友一「そうだよ!3回までだよ!?ここで使っていいの!?」

 

いやそういう問題じゃねーよ。

 

耕平「いいか、もう1回じゃんけんしてみてごらん」

 

今度は泰一が勝つ。

 

耕平「さぁ俺か友一選んで」

 

泰一「パスだ」

 

耕平「おい」

 

りょうが「パスだ!」

 

耕平「おい!終わんねーじゃん!」

 

りょうが「悪いがお前も友一もうちのチームにはいらん!」

 

頑固親父のように腕を組み豪語する。そうかよ。なら簡単だ。

 

耕平「わかった。じゃあ俺と友一は2人とも泰一のチームに入ってやる」

 

どうだ。これで数的有利。素人にとって数ほど有利なものはないだろう。ましてやバレーだ。2人でできるはずがない。

 

泰一「いいや。いらない」

 

もうダメだこいつらバレーのバの字どころか、常識のじの字すらわかっちゃいねえ。もっと言えば生き方のいの字すらわかってないし、翔平に関してはいつの間にか2本目の鼻毛出てきてるし。

友一も何か言いたげな表情だ。そりゃそうだ。こいつの気持ちも痛いほどわかる。余りものには福がある?余ったものの気持ちを考えたことあるの?いや、ないだろうね。修学旅行の班決めだって、グループ活動のグループ分けだって、余るやつに福なんてあるわけ無いだろ。さぁ友一、言ってやれ。余りものの本音、余りものの気持ちをぶつけてやれ。余りもの代表として、はっきりと言ってやれ!

 

友一「じゃあ審判やろう!」

 

 

――余りものにはバカもいる。