僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

封印されし右目

選択教科の授業。指定校で大学に行きたかった俺は、気が進まなかったが体育を選んだ。できれば動きたくない、高校生なのにそんな考えを持っていた俺は、それまでは英語を選び適当にこなしてきた。
しかし、成績アップを狙うならはるかに体育のが良い。
俺の他にりょうがと池田と友一がいる。池田は知らんが、他のバカどもは勉強するなら運動したいやつらだ。

授業はバスケ。球技ならば人並み以上にできる自信がある。とにかく、悪ふざけをするりょうがや友一に乗らず、むしろ注意するくらいの勢いで優等生を演じた。
試合が始まり、生徒同士が交差する。俺はその流れで、目に肘打ちを食らった。肘打ちをした生徒が焦って俺に駆け寄る。

「ごめん!大丈夫?」

スポーツに怪我はつきもの。少し視界がボヤけるが、痛みはない。立ち上がり、先生と肘の持ち主に大丈夫とサインを送りプレーを続行する。

その後も特に異常はなく、下校を迎える。家に着き、鏡を見る。若干腫れてる気もしなくもないが、放っておけば治るだろう。

寝る間際、ティッシュを手に取り鼻をかむ。その時、腫れた右目に違和感を感じた。鏡を見ると、先ほどの3倍ほどに腫れている。腫れていると言うよりは、膨らんでいるのだ。
すぐに母親に目を見せる。

耕平「ちょっと見てこれ!」

母親「ははは!ブスだなー!」

耕平「誰の子だよ。いやそうじゃなくて目!さっきより腫れてる!」

母親「ぶつけたの?」

耕平「いや、鼻かんだら腫れた」

母親「なんだそれ」

とにかく腫れている。そうだな、分かりやすく言うとボクシングの試合後の選手のような腫れ方だ。それよりも酷いかもしれない。
ちょうどリビングに降りてきた妹にも見せる。

妹「ブスだな。友一よりはマシだけど」

耕平「だろ?」

だろ?じゃねーよ。しかしもう0時前。今からどうこうできるわけでもなくその日はおとなしく就寝。もしかしたら起きた時に治っているかもしれない。

人生そんな甘いわけでもなく、相変わらず試合後のボクサーのような顔。寝起きも相待って、完全に負けたことが想像できる。

学校へ病院に行くから遅れると連絡をし、早速眼科へ行き医者に見せる。

医者「ひどい腫れだね。どうしたの?」

耕平「鼻かんだら、腫れたんです」

医者「…嘘でしょ?」

耕平「本当ですって!」

医者「それ以外に理由はあるはず。心当たりは?」

耕平「うーん、強いて言うなら、いつもより勢いよくかんだかもしれません」

医者「…それだけ?」

耕平「関係あるかわかりませんが、体育の授業で肘と接触しました」

医者「いやそれでしょ。最初に言ってよ」

医者曰く、ぶつけた時の腫れ、そこに鼻をかんだ時に空気が入ったとかよくわからないことを言っていた。下手したら目が…言わないでおこう。
この時俺は、鼻をかみ、目が腫れたという事実しか頭に入っておらず、変な説明しかできなかった。
危うく右目を失いかけたと言うのにも関わらず、処置はいたって普通。薬を塗り、眼帯をつけて登校。
ぶつけたのは右目で、右目に眼帯をつけていたのだが、実はガチャ目で右目の視力は2.0あったが、左は0.7しかない。普段より視界も狭く、ボヤけて見えているために慎重に登校する。
そして今日は学校行事として百人一首大会がある。なぜか知らないが気合いを入れて池田と全て覚えたと言うのに、これでは台無しだ。

学校へ着き、教室へ向かう。すると百人一首大会の同じチームメイトの池田が俺を見て驚いた表情をしている。そりゃそうだ。昨日なんともなかったやつが、眼帯をしているのだから。尚且つ池田はチームメイト。優勝を狙い、2人で勉強をしてきた。
俺に近づき、小さい声で言う。

池田「とうとうその右目を封印することにしたんだな…」

耕平「…え?」

百人一首大会の話題かと思いきや、わけのわからないことを言い出す。

池田「いいや、なんでもない。普段よりも邪気が少ないと感じていたが、その原因がわかった」

耕平「邪気…?湿気のこと?」

池田「まぁ、平和が訪れかけているってことだ…」

そう言い、去って行く。よくわからないことを言っていたが、確かに最近の中で今日は、湿気は少ないかもしれない。
次に現れたのは秀才翔平と不思議泰一だ。

翔平「そういえばぶつけたって言ってたね。大丈夫?」

耕平「少し見えづらいけど平気だよ」

翔平「無事で良かったよ。1人で戦おうなんて思わないで!俺たちも戦うから!」

耕平「戦う?百人一首大会のこと?だとしてもチーム違くね?」

泰一「翔平。冗談はやめるんだ。特別な力を持っているこーちゃんは世界の平和のために戦っている。選ばれし者の前では俺たちじゃ足手まといだ」

耕平「俺なんかに選ばれたの?」

翔平「そうだよね。じゃあ、遠くから見守ってるね」

意味深なことを言い去って行く。もしかしたら学校の代表に選ばれているのかもしれない。その可能性は十分にあり得る。百人一首のテストで満点を取ったのが校内で俺と池田だけだった。なぜかと言えば、成績に全く関係しないテストだったからだ。

友一「どうしたの!耕平の本体に何かあったの!?」

耕平「キタローかよ」

りょうが「いやキタローの本体右目じゃねえだろ左目だろ」

耕平「本体じゃなくて親父だろってツッコめよ。ツッコミ下手くそかよ」

いつも通りの展開である。そういえば池田や泰一が言っていたことが気になる。それを聞き出すべく、話題を出す。なるべくすんなり入るように、そのまま言う。

耕平「てかなんか今日邪気少なくね?」

りょうが「は?」

思った反応が返ってこないが、それがこいつらのノリだ。俺はわかっている。

耕平「多分だけど、俺右目封印したやん?」

りょうが「封印ってなんだ?金庫にでも入れてきたの?」

金庫に目入れるかよ。アホか。

耕平「まぁ何にせよ、平和が訪れてるってことだよ」

りょうが「そうなのか」

耕平「それより友一、お前は足手まといだ」

友一「いきなり何!?」

耕平「この特別な力は俺にしかないんだ。お前は見守ってくれてるだけでいい」

友一「そうなの?…う、うん、わかったよ」

何か違和感を感じる。池田を始めとする3人は、俺に何かを伝えたかったかのように思えるが、こいつらはそれをわかっていない様子だ。

りょうが「一体何が言いたいんだ?」

それは俺もわからない。トイレに行っていたのか、ちょうど池田が戻ってくる。

りょうが「なあ池田。こいつ邪気とか特別な力とか言ってるんだけど…。なんかいつもよりおかしいぞ」

池田は深刻な顔をし、小さい声で言う。

池田「恐らく、そいつは中二病だ」