僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

災いの連鎖

気持ちの良い日差しの中、学校へ行く。連日、雨が降り道路は濡れていた。お昼を過ぎても晴天は続き、濡れた道路を乾かしている。

池田「久しぶりに晴れたな」

耕平「そうだな」

昼飯を食べ終え、グッと伸びをする池田。眠そうな表情をしている。
しかしこの天気だと言うのにも、浮かない顔をする男がいた。弁当を食べ終え、窓の外を眺めている。

耕平「どうした」

さほど心配などしていなかったが、それでも、声をかけるのが友達と言うものだ。俺に視線を合わせず、ぼそりと言った。

りょうが「友一がバイクで事故にあった」

今朝から見ていないのはそのためか。りょうがは拳を握り、軽く机を叩く。

りょうが「くそ…許せねえ…!」

その様子を見て、池田が和やかな表情で質問をする。

池田「死んだの?」

耕平「軽いな」

もちろん死んでないし、それに軽傷らしい。大事に至らなくて良かったと池田は言う。本当にそう思っているのか、あるいは適当に言ったのか本心はわからないが、きっと前者である。
りょうがは相変わらず険しい表情をしている。恐らく、友一の事故の相手に対して怒っているのだろう。何も聞いていない俺からすれば、悪いのは友一の可能性が高いと思っている。だが、りょうがも決して理不尽に怒るやつではない。むしろどちらかと言えば温厚なやつだ。そんなりょうがが怒っているのだから、きっとそれなりにひどいのだろう。

りょうが「詳細を、お前らには話しておかないとな…」

池田もいつの間にか真剣な表情をしている。俺と同じく、りょうがの気を察したのだろう。そしてりょうがは事故の詳細を語り始める。

りょうが「雨の日だ。あいつにバイクを貸してたんだけど、使うから返しに来いって言ったんだよ。雨降ってたから別の日でもいい、そう言ったんだが、暇だし遊びに行くがてら乗ってくよ、ってさ。その行き、あいつは急なカーブを曲がり切れずに転倒した」

一瞬、空気が白ける。

池田「え、終わり?」

りょうが「おう」

単独の事故のようだ。そうなると、りょうがの怒りの矛先は一体なんだ。池田と目を合わせ、意志を疎通させる。上手くいったのかわからないため、俺がりょうがに言う。

耕平「お前は悪くない」

池田「そうだぞ。そう落ち込むな」

上手いこと疎通できていたようで、りょうがを2人で励ます。

耕平「バイクに事故は付き物だろ?それはお前が1番よく分かってるじゃん」

少し前にりょうがも事故を起こしている。幸い、命に別状はなかったが少し怪我をしている。

池田「これであいつもいい教訓になったんじゃねーの」

りょうが「お前ら…」

軽く肩を叩く。もちろん、友一だってりょうがの事を恨んでいるなんて考えられない。あいつは優しいやつだ。恐らく学校を休めてラッキー程度にしか思っていないだろう。

りょうが「違うんだ。俺が怒っているのはそうじゃないんだ」

続きを待つ俺と池田。そして再び軽く机を叩き、りょうがが言う。

りょうが「俺のバイクで事故んなよクソ」

耕平「的確な発言すぎて何も言えねえな」

りょうが「事故ろうが何しようがあいつの勝手だ。でも俺のバイクで事故んなよ」

池田「確かに、そうだな」

りょうが「しかもタチが悪いのがどこも壊れてないってところ。傷だけつけやがって、普通に乗れるんだよ」

池田「あいつも地味に策士だな」

りょうが「それだとわざわざ修理に出すのも変だろ?もともとボロかったし」

池田「今更感はあるよな」

りょうが「耕平、お前はどう思う」

りょうがは、友一に謝罪以上の事をさせたいらしいがそれは不可能に近いと言いたいのだろう。金なし頭脳なしろくでなしの友一に、ここら辺で人生の厳しさと言うものを教えたいようだ。

耕平「まぁ、大事に至らなくて良かったじゃん?今回は大目に見てやれよ」

りょうが「お前は甘すぎるんだよ。でも、まぁそうだよな」

そう言い、りょうがは再び外を見る。もちろん友一だってわざと事故を起こしたわけではないだろう。雨の日は滑りやすい。仕方ないと言うのもおかしいが、乗り慣れていないバイクでのスリップだ。
愚痴を言って気分が晴れたのか、それとも天気が良いからか、少し表情が和らぐ。

りょうが「なぁ耕平」

今度は俺の顔を見て話し出す。

りょうが「お前の原付のミラー割れてたじゃん?」

耕平「そんなことあったな」

りょうが「あれ犯人俺だから」

耕平「…やっぱ友一に修理代払わそうぜ!!!」