僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

気持ちが大切

りょうがが運転する車に友一と乗る。もうそろそろ泰一の誕生日という事で、プレゼントを買いに行くようだ。普段からプレゼントの渡し合いなどないが、泰一は来年から社会人ということもあり、プレゼントを買うらしい。泰一の誕生日の6日後は俺の誕生日であるが、そんな事は一切気にしていない様子である。

ショッピングモールへ入り、店を見て回る。たくさんのショップがある中で、喫茶店へ入り話し合いをする。

りょうが「さて、何買うか」

大学生2人と、バカ1人であるためにそこまで高額なものは買えない。

耕平「ネクタイなんてどう?」

ネクタイならば安く済ませることもできるし、数あっても困らないだろう。それに俺らが選ぶとなれば、泰一自身が選ぶよりもきっとセンスが良い。

りょうが「なるほどな。お前らしい、非常につまらない提案だ」

耕平「・・・」

友一「ほんとだよ。プレゼントの目的が全くわかってないね!」

耕平「そういうお前は何が良いと思うんだよ」

自分の考えも言わずに否定されるのは納得がいかない。コーヒーに砂糖を入れ、友一が語り出す。

友一「いい?プレゼントって言うのはね、喜んでもらわなきゃ意味ないの!」

耕平「あぁ、そうだな。その通りだ。それで?」

友一「確かにネクタイは無難なチョイスだと思うよ。でもね、俺たちならさ、必要なものじゃなくて欲しいものをプレゼントするべきだと思うの」

必要なものをプレゼントするのは誰でもできる。しかし、欲しいものをプレゼントするのは友達にしかできない。友一はいつになく真面目なことを言う。確かにその通りだ。友達ならば、友達ならではのものを、友達としてしか選べないものを選ぶべきなのかもしれない。

耕平「なるほどな。それで、何が良いと思うんだ?」

コーヒーを一口飲み、まだ苦かったのか俺の砂糖も入れる。そしてカップの中をスプーンでかき混ぜながら言う。

友一「ネクタイがいいと思う!」

耕平「死ねば?」

りょうが「死んだ方がいいな」

友一「満場一致で死ぬしかないみたいだね!」

耕平「なんでお前も死にたがってるんだよw」

どうやら満足のいく甘さになったようで、ご機嫌な表情をしている。

耕平「友一が言った通り必要なものじゃなくて欲しいものってのが良いと思う」

りょうが「まぁそうだな。でもよ、あいつの欲しいものってなんだ?」

5秒ほど沈黙が生まれる。泰一はあまり自分のことを話さないために、欲しいものなどわからない。それに、物欲というものがないやつだ。さらに考えるが、やはり思い浮かばない。そんな中友一が何か思いついたようで、言う。

友一「彼女、かな」

耕平「無理だろ・・・」

りょうが「彼女か・・・いや待てよ!?」

りょうがも何か思いつく。今更言うまでもないが、こいつらの提案ほど無駄なものはない。期待しないでりょうがの続きを待つ。

りょうが「彼女をプレゼントするのは無理だ。だがな、彼女ができたあと、その時に役立つものをプレゼントすれば良いのだ!」

熱のこもった主張をする。

友一「ゴム?」

りょうが「お前はバカか!そう言う目で見てるから生理的に無理って言われるんだよ!」

友一「ちょっと待ってよ!そんな目で見てないし、生理的に無理なんてまだ2回しか言われてないよ!?」

りょうが「2回も言われてる時点でやべえから!」

耕平「で、りょうがは何が良いと思うんだよ」

コーヒーを一口すすり、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりの表情をし、親指を立てて答える。

りょうが「勝負下着だ!」

友一「ゴムと変わらないじゃん!」

りょうが「あほか!全然違うわ!」

耕平「ねえどっちでも良いけどこんな真昼間から公の場でゴムとか勝負下着とか大きな声で話さないでくれる?」

りょうが「うっせーよヤドンみたいな顔しやがって。さっさとヤドランに進化しろよ」

耕平「お前な、、友一、お前もなんか言ってやれ」

友一「うるさいよ!レアコイルみたいな顔のくせに!」

耕平「俺の顔のことじゃねーよ!」

レアコイルに似ていることを否定できないほど、ツッコミどころが豊富な発言であるが、何とか食らいつく。

友一「勝負下着って言い方はおかしいけど、普通に下着でも良いんじゃないかな?」

耕平「それだったらネクタイでも良くない?」

友一「うーん、確かにそうかも」

りょうが「お前らわかってない」

そう言い、持論を繰り広げる。

りょうが「ネクタイっつーのは、相手を選ばず見せるものだ。でもな、下着は普通、相手に見せないだろ?」

耕平「まぁ、そうだな」

友一「でもさ、それじゃあ泰一が欲しいものにはならないんじゃない?」

りょうが「いや、あいつはきっと喜んでくれる」

耕平「その自信はどこから出てくる」

りょうが「俺たちがこうやって悩んで選んだプレゼント、喜ばないわけないだろ」

そう言い、会計を済ませ喫茶店を出る。友一と目を合わせ、りょうがについて行く。

泰一が欲しいもの、それは結局わからなかった。本人に聞くのが良いのかもしれないが、それはダメだとりょうがは言う。

りょうが「あくまでも俺なら、の話だがな、こうやって悩んで選んでくれたならそれだけで嬉しいもんだぜ」

耕平「なるほどな」

必要なもの、欲しいもの、そんなのどうでも良い。根本的に1番大切なのは気持ちだ。そう言いたいのだろう。

友一「そうだね!きっと喜んでくれるよ!」

りょうがはすでに何を買うのか決めているようで、ショップに入り、ものを探している様子。そして次の店、また次の店と、順に回る。

りょうが「あった」

商品を手に持ち、こちらへ向ける。

りょうが「これが泰一へのプレゼント、泰一のイニシャルを取ってこれにした!」

友一耕平「勝負下着じゃん」

りょうがが誇らしげに手に持つ"T"バックを見て、きっと喜んでくれるだろうと言う気持ちはどこかへ行ってしまった。