僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

夢の意味

 

目を開け、時計を見ると朝の6時。最近空気が乾燥しているためか、はたまた寒いというのに窓を開けて寝ているのが原因かは不明だが、喉をやられている。起きてすぐに、"炭酸が飲みたい"そう思い自販機へ向かう。朝からウォーキングをする近所のおじさんに話しかけられる。


おじさん「おはよう!寒くないのか!?」


俺の足元、素足にサンダルの足を見て大げさに引きつった顔をする。


耕平「若いんで平気ですよ」


おじさんの頭を見て、おじさんも寒そうじゃんと言いかけてやめる。高校生の時なら間違いなく言っていたが、今となっては俺も将来ハゲるかもしれないという不安があるために、言葉を飲み込んだ。


ストーブの電源をつけてコーラを飲む。カラカラの喉に良い刺激が走ったところで昨日見た夢を思い出す。普段夢は見てない、あるいは見ても覚えていない。実質久しぶりの夢である。その夢の内容が、耳から血が出るという悲惨な内容だった。
休みなのに無駄に早起きしている池田と、これから仕事のりょうがが、LINEで話をしていたので俺も参戦する。


耕平「昨日耳から血が出る夢見たんだよね」


池田「んじゃ寝るわ」


りょうが「俺も軽く寝るわ」


耕平「俺の起床が寝る合図みたいなのやめようよ」


勝手に続ける。


耕平「それで血がすごい出ててね、それをボロ雑巾で拭いてたんだわ」


りょうが「いつも雑巾で顔拭いてるからそんな夢見るんだよ」


耕平「拭いてねーよw」


りょうがとの茶番を繰り広げていると、早速池田が調べたようでそれを教えてくれる。


池田「耳にキスされる夢ってのは、お前の魅力を感じて、密かに片思いを寄せている男性がいるらしいぞ」


耕平「春が来たってことか」


りょうが「見た夢ちげーだろ」


池田「しかも男性な」


耕平「意地でも耳にキスされる夢だけは見ないように頑張るわ」


池田「んで、耳から血が出る夢は、血が出る理由は頭の回転が良いからだって。そんでもってなんか成功するらしいよ」


耕平「良い夢じゃん」


池田「悪い意味だと自分で気付かないミスを犯してるってさ」


耕平「ミス?」


池田「例で挙げられているのだと、何気なく言った一言で誰かを不快にさせてるとかだって」


りょうが「耕平の場合、おそらく悪い意味だな」


池田「間違いない」


耕平「俺もそう思う」


コーラを飲みながら最近のことを振り返る。誰といつどこで何をしたか。何か気に触るようなことを言ったか。色々思い返すが何も浮かばない。

当然だ。自分では気づいていないのだから。


耕平「お前らなんか心当たりはないか?」


池田「それお前が聞くのおかしいから」


耕平「なんか、ここ最近俺に傷つけられたみたいなやつない?」


りょうが「まぁ強いて言うなら絵だな」


池田「絵だね」


耕平「それは言わないって約束だよ!言ったらお前らも耳から血流すよ!」

 

ストーブを消し、再びベッドに入る。自分が知らない自分を、他人が知っているわけがない。知ってたとしても、鼻毛が出てるとか、頭にご飯粒が付いてるとかその程度のことだ。

もしも、このまま自分が知らないうちに誰かを傷つけているのならば、それはいけないことだ。なぜなら再び傷口を雑巾で拭うなんて悍(おぞ)ましい夢を見てしまうかもしれない。それだけは、そうそれだけは断じて許されない。

 

いつの間にか寝ていたようで、ふと目を覚ますと時計は10時を回っている。幸いにも夢に雑巾は出てこなかった。隔日勤務の仕事が終わった頃だろう、友一にLINEを送る。

誰に対してかはもちろんわかっていない。でも、身近な人で俺が知らない間に傷つけてしまっているのならそれはどんな理由があるにしろ俺が悪い。きっと、俺が悪い。

自分を見つめ直し、そしてまた同じ夢を見た時に、”その夢は良い意味の方だ”、そう言ってもらえるような人になろう。そして俺も、そう思えるような人になりたい。

 

 

耕平「おはよう」

 

友一「おはよう!今日も良い天気だね!じゃあね!」

 

 

耕平「死ね」