僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

LIVE参戦

飼い犬に引っ張られるがまま、散歩をする。俺はこいつを散歩してやってるつもりでいるが、この犬はもしかしたら俺を、いや俺たちを散歩してやってるつもりでいるのかもしれない。


りょうが「お前んとこの犬もなかなかバカそうだよな」


りょうがのところに犬がやってきて2.3年経つだろうか。元気な犬で、今だに手を焼いているらしい。友一がりょうがの家に遊びに行った際に吠え散らかされたと言っていたが、俺が行った際にはそんなことはなく警戒している様子ではなかった。親が動物を扱うプロであるが故、無自覚のうちに動物に対する接し方を身につけていたのかもしれない。


長い坂を下ると、小学校がある。土曜だと言うのにすごく賑やかだ。覗いてみると、文化祭のようなものが開かれていた。


りょうが「行ってみようぜ」


好奇心旺盛のりょうがは中に入って行く。


耕平「犬いるんだけど」


りょうが「平気だ」


立ち止まり、後ろを振り返り言う。


りょうが「そいつはな、確かに犬だ。でもな、お前にとっては犬じゃない。家族・・・そうだろ?」


ニコッと爽やかな笑みを浮かべる。


耕平「そういう問題じゃないんだけど」


近場にいた職員らしき人がすんなりと許可をくれて犬を連れて校内へ入る。中へ入ると、学校の行事ではなく地域の小さな祭りということがわかった。田舎なところであるが、こうやって盛り上がっているのを見ると何だか良い気分になる。


別にお腹が空いているわけでもなく、犬に釣られてやってきた小学生が出し物をしていると言うのでそこへ行く。小学生なので手芸品の展示とかそんな感じのものかと思いきや、二人一組でゲームをするらしい。
内容は連想ゲームの逆と言えば良いのか、◯◯と言えば?というお題に、2人で同じものを答えるものであった。見事一致した際には、飴がもらえるらしい。


演技なのか本気なのかはわからないが、りょうがが楽しそうに挑戦しようとしている。それすなわち、俺もやることになる。


りょうが「俺たちの友情見せてやろうぜ」


耕平「・・・そうだな」


もう10年近い付き合いではあるが、恐らくこれは難しい。俺の想像を超える具合に友一とりょうがはぶっ飛んでいる。


りょうが「安心しろ。俺がお前に合わせてやる」


心の声が聞こえたのが、奇行種が俺に合わせると言い出す。それならばさほど難しくないだろう。いかんせん俺は平凡だ。このメンバーの中では。


小学生「お題は秋!せーので答えてね!」


秋、秋と言えば何だろうか。食欲の秋、運動の秋、読書の秋、色々思い浮かぶ。俺とりょうがにとっての秋とは何だろうか。


いや、考える必要もないか、りょうがが俺に合わせてくれると言っている。それなら素直に読書とでも言おうかな。


小学生「準備はいい?」


りょうが「おうよ!」


小学生「いくよ、せーの!」


耕平「読書」


りょうが「ヤシロ!」


小学生「はいざんねーん!」


りょうが「っち!惜しかったな!」


ねぇちょっと待って。


耕平「惜しかったって言ってるけど、お前今なんて言った?」


りょうが「ヤシロ」


耕平「ヤシロって何?」


りょうが「八代亜紀の八代だ!」


耕平「俺に合わせるんじゃねーのかよ。まず秋と亜紀違うし、何で俺八代亜紀好きみたいになってるんだよ」


りょうが「あれ、お前初めて買ったCD八代亜紀じゃなかったっけ」


耕平「ちげーよんなわけないだろ・・・」


りょうが「参考までに、初めて買ったCDは?」


耕平「そんなの、どうでも良いだろ」


りょうが「良いから言えよ」


耕平「・・・ピクミンの歌だよ・・・」


りょうが「ははは!何じゃそりゃ!」


耕平「うるせーよ。お前は何買ったんだよ」


りょうが「自分のお金で初めて買ったのは、八代亜紀だ」


耕平「お前、俺に合わせる気ねーだろ!」


小学生「はい、これ参加賞!」


そう言われ、飴を渡される。いや飴かよ。正解しても飴で参加賞も飴かよ。特別感まるでねーな。
その場を後にし、歩き始める。


りょうが「さっきからあるこの張り紙誰だ?」


りょうがが指差す張り紙紙には、13時からKayoのスペシャルライブと書かれている。そう言えば、小学生達もKayoという人のライブについて楽しそうに話していた。


耕平「さっき小学生達も話してたな」


りょうが「ヒカキンみたいな人なのかもね」


ヒカキンレベルになれば俺たちでもわかるが、このKayoという人物を俺たちは知らない。小学生達の間で話題の人なのかもしれない。


りょうが「それ見たら帰るか」


時間的にそろそろだろう。舞台となるステージへ向かう。並べられた椅子に適当に座り、Kayoと呼ばれる人を待つ。


人がポツポツと集まり始める。と言っても、そこまで大人数ではない。

 

りょうが「可愛いかな」

 

耕平「どうだろうな」

 

りょうが「もし可愛かったらお前声かけろよ」

 

耕平「自分で声かけろよ」

 

 

司会「それでは、これよりKayoさんによるスペシャルライブを始めたいと思います!」

 

人数に相応した拍手が鳴り響く。Kayoと呼ばれる人が、舞台の上に登場する。それに合わせ、司会が軽く紹介をする。

 

 

司会「かよさんの登場です!毎日の日課は掃除をしながら小学生に挨拶をすることだそうです!そしてなんと今年で77歳になるそうです!」

 

耕平「Kayoちゃんおばあちゃんかよ」

 

りょうが「さぁ行ってこい!」

 

耕平「射程圏内かよ」

 

かよさんの渋い歌を聴き、俺たちは家に帰った。

 

 

――

 

先日、友一と泰一とご飯を食べに行った。葉が色を変える様子を見て、秋だなぁとボヤく友一に1つ質問をした。

 

耕平「なぁ秋と言えばなんだ?」

 

宙を一瞬見上げ、すぐに答えた。

 

友一「んー、ヤシロ!」