僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

その家には、立ち入り禁止の部屋があった

深夜3時。泰一の家に泊まりに行った俺たちは、次の日学校にも関わらず夜更かしをしていた。これは別に特別なことではなく、よくあること。しかし流石に眠くなり始め、電気を落とす。5分も経たないうちにりょうがと泰一は眠りについたようだ。寝付きの悪い俺であるが、今日はウトウトし始めるのが早い。りょうがと泰一に続いて、もう後少しで寝れる。その時友一が小さい声で話しかけて来る。


友一「耕平起きてる?」


耕平「・・・」


本当に、冗談抜きで寝付きが悪いので、このタイミングで声を掛けられるのはたまったもんじゃない。この眠気を逃してしまったら、次の眠気はなかなか来ないのだ。
クマに寝たふりが有効ならば、同じくらい、あるいはそれ以下の知能を持つ友一にも有効なはずだ。


友一「耕平!起きてる!?」


耕平「・・・・」


寝たふりを貫く。


友一「ねえ!起きてるか聞いてるじゃん!無視しないでよ!」


耕平「・・・・・・」


友一「ねえってば!!」


耕平「うるせえな!寝てるわボケ!」


友一「起きてるじゃん!」

 

どうやら逆にバカすぎて通用しないようだ。
今俺の手元にロケット花火があったら、ケツの穴にブッ込んで火をつけているところだ。残念ながらロケット花火はないが、"ロケット花火ケツに突っ込むぞ"と声のトーンを落とし、マジなトーンで言う。それくらい、寝付きが悪い人にとってこのタイミングで話しかけられるのはうざったいのだ。それを察したのか、友一も声のトーンを落とし、一切ふざけた様子を見せずに言う。


友一「危ないからやめときなよ。怪我するよ」


耕平「アホか。なんで自分のケツに入れるんだよ。お前のだよお!ま!え!の!」


先ほどまで握っていた眠気、今となってはもう捕まえられそうにないところに行ってしまった。タイミングの悪い友一にキレつつも、自分の寝付きの悪さを呪い、仕方なく友一に用を聞く。


耕平「で、なんだよ」


泰一が寝ているのを確認した後、先ほどキレたからか意外とすんなりと要件を話し始める。


友一「あのね、さっき見つけたんだけどね、1階に立ち入り禁止って書かれた部屋があったの」


こいつ、人の家を勝手に徘徊した上に余計なもの見つけるなんてとんでもないやつだ。罰当たりもいいところ。


耕平「・・・興味深いな」


怖いもの好きとして黙っているわけにはいかない。罰当たり承知で友一とその部屋へ行くことにする。しかしそんな場所あっただろうか。泰一の家には小学生の頃からよく遊びに行っている。だがそんな部屋、見たことがない。いや、正確に言うと泰一の部屋しか知らない。泰一の部屋は2階にあり、トイレも2階にあるために1階部分はほとんど知らなかった。


その前に、わざわざ立ち入り禁止なんて張り紙をするだろうか。足音を立てず、階段を降りながら考える。泰一から見ても友一ほど自由な友達はいない。それならば友一自体を立ち入り禁止にする必要があるのではなかろうか。


長い廊下を歩き、突き当たりの部屋へ着く。ライトを照らし、友一が俺の顔を見る。


友一「ほら。立ち入り禁止って書いてあるでしょ」


言葉が出ない。少し鳥肌が立つ。なぜだろう。一体なぜ。


耕平「使用禁止な」


なぜ使用禁止を立ち入り禁止と見間違えるのだろうか。ちょっとビビり、引き気味の友一を放っておき、ドアを開く。トイレだ。至って普通のトイレ。要は1階のトイレは壊れてるから使用禁止なのだろう。


耕平「トイレ壊れてるだけだろ」


友一「果たしてそうだろうか・・・」


耕平「深く考えるだけ無駄だ。起きたら泰一に聞けばいいだろ」


友一「耕平は、何も感じないの?」


耕平「感じないけど」


友一「そっか・・・」


意味深な発言をする友一。こいつは何かを感じたとでも言うのだろうか。足音を立てず、階段を登りながら考える。なぜ、友一は俺が寝ているふりをしたのにも関わらず起こしたのだろうか。もしや、本当に何か感じているのではないのだろうか。


部屋へ戻り、布団に入る。泰一とりょうがは相変わらずぐっすり眠っている。布団に入り、考える。おそらくもう寝るのは無理だ。寝るのを諦め、考える。友一は何かを感じた。恐らく、何かを感じたからこそ、俺を連れてトイレへ向かったのだ。


ー何を感じたのだろうか。


耕平「お前、一体何を感じたって言うんだ」


こればかりは考えてもわからない。直接本人に聞くのが1番である。


友一「・・・」


耕平「・・・言えないようなことなのか?」


友一「・・・」


黙りこくる友一が心配になり、視線を友一に移す。


耕平「寝るの早くね!?」

 


結局、眠れないまま日が昇る。駅に向かいながら泰一に質問をする。


耕平「1階のトイレ壊れてんの?」


泰一「うん」


やっぱり。壊れてるだけじゃん。じゃあなんだ、友一、お前は何を感じたって言うんだ。


友一に視線を移し質問をする。


耕平「だってけど、お前は昨日何を感じたのよ」


短い睡眠時間であったにも関わらず、朝から元気な声で答える。


友一「強いて言うなら、眠気かな!」


耕平「てめえケツの穴に打ち上げ花火ぶち込むぞ!」


友一「打ち上がったら写真撮ってあげるね!」


耕平「だからなんで俺が自分でやるみたいになってるんだよ