僕らの現実非日常?

誰かこのロマンティックを止めてくれ

友一のお家へ~たしなめ方~

30度を有に超える2018年夏。外で行動するのは冗談抜きで危険なため、俺と池田とジョンは友一の家に向かう。俺とジョンはすでに1度訪れているが、彼女と同棲している新しい家である。

 

道中、スーパーへ寄り、お菓子や飲み物を適当にかごに入れる。

 

耕平「お土産買わないとだな」

 

池田「別にいらないでしょ」

 

耕平「友一にはいらないけど彼女になんか買ってってあげないと」

 

池田「あ、そうか」

 

少し贅沢なお菓子コーナーを徘徊する池田とジョンを横目に、すでに買うものを決めている俺は、2人を無視して目的の商品を手に取る。俺の中ではこれしかない。かごを持つ池田へ商品を渡す。

 

耕平「これだ」

 

渡した商品はレトルトカレー。そう、友一の大好きなカレーだ。

 

池田「お前、それ友一へのお土産じゃん」

 

耕平「アホか。らしくないな。よく見ろ」

 

暑さでやられているのか、いつもより雑な池田へカレーを渡す。

 

池田「・・・なるほど。辛口か」

 

耕平「そうだ」

 

そう、友一はカレーが大好きである。しかし、それは辛口以外の話である。俺の狙いは実にシンプル。友一の大好きなカレーを彼女へのお土産とする。こっそり友一に食べられる心配のないもの、辛口カレー。そして友一の好物であるが、唯一食べられないもの、辛口カレー。

 

池田「お前は本当にいじわるなやつだな」

 

耕平「別にそんなことねーだろ。勝手に食べられないものを選んだだけだ」

 

と言いつつも、おそらく池田の考えと俺の考えは同じである。2人で悪い笑みを浮かべる。カレーのいい匂いを漂わせながら、友一の隣で彼女がカレーを食べる。すごく気分のいい光景が浮かぶ。

 

池田「なんだか楽しくなってきちまうな!」

 

耕平「ほんとだな!最高の夏だぜ!」

 

ジョン「お前ら・・・」

 

こうして俺たちはお菓子、飲み物、そして辛口カレーを買い、友一宅へ向かう。

 

友一「ようこそ!さぁ上がって!」

 

前回来た時とさほど変わらない部屋へ上がる。適当に座り、いつもどおりの感じで適当に話し始める。

 

耕平「最近どうよ」

 

友一「それがね、水没しちゃってさ」

 

耕平「・・・え?」

 

池田「何が水没したの?」

 

友一「アイコスだよ」

 

耕平「いや来てそうそうアイコスの調子聞くやつどこにいるんだよ」

 

友一「ここにいるじゃんww」

 

耕平「お前の近状を聞いたんだよ!アイコスのアの字すら出してねーだろ」

 

買ってきたコーヒーを飲みながら仕方なく友一に合わせる。平常心平常心、いつもどおりだ。そう、言い聞かす。

 

耕平「まぁ早めに交換してもらえよ。1回だけなら無償で交換してくれるぞ」

 

友一「パソコンを?」

 

耕平「な!ん!で!アイコスの話してただろうが!」

 

最初からトップギアの友一に微笑みながら握手を求めるジョン。

 

ジョン「相変わらずだね。変わってなくて安心したよ」

 

この2人が会うのは半年ぶりくらいだ。久しぶりの再会に笑顔で握手を求める。池田が小声で、アメリカの映画の観すぎだろ、とつぶやく。俺も小声で、半年じゃ人間変わらねーだろ、とつぶやく。友一も笑顔でジョンに近寄る。

 

友一「いたんだ!」

 

池田「その返しはずるいww」

 

耕平「俺たちの小言が無になるレベルのリアクションじゃねーかよ」

 

 

さて、実は今日集まったのは少し真面目な話をするためである。このまま友一のペースで行ってしまっては時間の無駄になってしまう。午後からは泰一と翔平も合流する。早い段階でペースを握らなければならない。個性が強い人間が集まる場で、主導権を握るのは難しい。しかし俺はそんな彼らともう10年近い付き合いになる。10年もともに過ごせば、たしなめ方もわかってくるものだ。

 

ここで、アレの出番である。

 

耕平「そうだ、お土産買ってきたんだ」

 

友一「ほんと!?カレー!?」

 

耕平「殺すよ?」

 

池田「それは理不尽w」

 

お土産と聞いて真っ先にカレーと言うやつがいるだろうか。しかも当たってるし。そういうわけで普通に袋から出して、普通に渡す。

 

友一「カレーじゃん!あ、」

 

辛口に気づいたのか、表情から少し動揺が読み取れる。間髪入れずに池田が補足をする。

 

池田「それお前にじゃなくてお前の彼女へのお土産だからな?勘違いするなよ?」

 

ジョン「まぁゆっくり食べてくれ、と伝えてくれ」

 

耕平「さて、じゃあ本題に入るぞ」

 

完璧な流れだ。池田もジョンも俺を見る。友一の視線がカレーから俺に移るまで待つ。これが猛獣のたしなめ方である。友一が何か言いたい、そんな表情で俺を見る。

 

耕平「なんだ?どうした?」

 

王者の余裕に似たオーラで、友一の発言を許す。そしてたしなめられたはずである友一が言う。

 

友一「彼女も辛口だめなんだよ・・・」

 

池田「・・・それは予想外だったからカレーも割り勘な」

 

もはやお土産でも何でもない。この調子のまま、真面目な話へ入ることになってしまった。